産地のアイデンティティについて思うこと、について
この前の続き。
この方のロングインタビューで、
お、と思ったことについて続きを書きます。
滋賀の信楽焼の地で、自分のお店を開き、新たな陶器の可能性を探って頑張っている方のインタビュー。
https://www.kougeimagazine.com/crafts_now/171102_nota/
"産地に作る力があるとして、僕がそこで重要だと考えているのは、翻訳能力なんです。クライアントが求めるテイストに対して、産地の知識やノウハウをいかにつなげられるか"
心に引っかかったポイントが幾つかあるので、以下確認しつつ。
産地に作る力があるとして
→これがあるところと無いところの見極め、難しいと思っていました。今まで。
産地として今も活気がないところ…その理由は、実は実力が足りていないのか、単にPRが下手だからか…etc
ただ最近思うのは、結局、作る力が培われるかどうかはマインドの問題に尽きるな…ということです。今のこの、負けている状況の要因を分析した結果として、その理由を他責(我が身の実力を顧みず、消費者やマーケットのせいにするなど)にしないマインド。
正確に世の中に起こっていることを捉えられて他責にせず、自分たちの立ち位置を振り返って動き続けていれば、産地に作る力は蓄積されていくんでないかなぁと。個人的見解です
翻訳能力
→全く同じことを、他の産地で活躍しているあるデザイナーさんより聞いたことがあります。
要はキュレーション(翻訳)をどうするか、切り口の問題だと。産地がそれぞれもつ素材をどう料理するか…と言う話
産地の知識やノウハウ
→まさにこれが、産地ごとのアイデンティティを体現するものだと思っています。
例えばわかりやすい例として、陶磁器。
日本各地には色々な陶磁器があり、それぞれ、その地でしか取れない土を使って、ものづくりをしている…だから、有田焼、益子焼、信楽焼…と差別化をすることが、"今までは"できていたのだそう。
でも実は今は、その素材の土が共有化されつつある実態があるとのこと。(実は〇〇焼も✖︎✖︎焼も、同じ素材の土を使っている…など)
もはや素材の違いで各産地の特色を語ることはできない…では何で語るか、というと、もう、それぞれの産地で培ってきた技術や知識でしかない訳です。そこが特色になり、アイデンティティとなる。
しかしここで問題となるのが、長年産地でやってきた人達が、技術や知識を踏まえて、"自分たちは何者か"、ということが語れない状況が多くの産地にて発生している…という現実。
辛辣な人は、伝統工芸、という名前に胡座をかいて、自分たちの持つ価値を振り返ってこなかった結果だと酷評していました。
突破口を開くために苦しんでいる各産地の、この状況を打開するには何が必要なんだろう…とぼんやり考えます。
確実に必要なのは信念とブレないマインドを持った人材。前回も書きましたが、調整ごとをする人、早く成果を出す人。違う切り口では地元/ヨソモノそれぞれ、信念持った人…で物事を引っ張れるリーダー。年齢層もそれぞれバラついて必要かもしれない。
もしかしたらそもそも"伝統工芸"、"産地"の再定義が必要な段階にきているのかもなぁ…とも考えたり。
話がまとまらなくなってきたので、とりあえずこんなところで。
ともかくも、最近読んだインタビューの中では一番、色々と考えさせられたものでした。